建設材料の発注のやり方数量ミス・頼み忘れ・二重発注を防ぐ
「頼んだはずの材料が来ない」。原因をたどると、たいてい発注が電話の口頭で終わっています。材料発注は記録がすべてです。
材料発注の基本の流れ
- 1
拾い出しで数量を確定する
発注の質は拾い出しで決まります。工種ごとに単位を決めて数量を出し、ロスを掛けて荷姿に換算するまでが準備です(拾い出しのやり方は別記事で詳しく解説しています)。
- 2
発注書の形で記録に残す
品名・規格(色・荷姿)・数量・単価・納品場所・納品希望日。口頭やLINEの断片ではなく、1件の発注として全項目が揃った形で残します。
- 3
納期回答を受けて工程と突き合わせる
「あるはず」で工程を組まないこと。調色品・メーカー取り寄せ品は日数がかかります。納期回答をもらってから該当工程の日程を確定します。
- 4
納品時に発注と照合する
品番・色・数量を発注書と突き合わせてから受け取ります。違う色のシーリングを受け取ってしまうと、気づくのは打つ直前です。
- 5
実績を残して次回の拾いに戻す
余った量・追加した量は、次の現場のロス率の根拠になります。現場別・月別の購入履歴が見える形にしておくと、原価管理にもそのまま使えます。
発注トラブルは3種類しかない
材料発注で起きる問題は、突き詰めると3つに分類できます。それぞれ原因と対策が違います。
| トラブル | 典型的な原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 数量ミス(足りない・余る) | 拾い出しの単位間違い、塗回数の掛け忘れ、ロスの見込み違い | 計算式を固定し、根拠(面積・延長・塗布量)を発注書に残す |
| 頼み忘れ(副資材が来ない) | 主材だけ発注して、プライマー・役物・ビスを後回しにする | 工種ごとの副資材リストを定型化し、毎回同じ並びで確認する |
| 言った言わない(違う物が来る・二重発注) | 電話・口頭発注で記録が残っていない。担当者間の伝達漏れ | 発注は必ず書面(データ)で。誰がいつ何を頼んだかを1か所に集める |
ポイント
電話・FAX発注の何が問題か
電話発注が悪いのではなく、記録が電話の中にしか残らないのが問題です。 こういう流れに覚えがないでしょうか。
現場から監督へ電話、監督が事務所へ伝言、事務所が問屋へFAX。この間に「ウレタン18kg 10缶」が 「16kg 10缶」に化けても、誰も気づけません。着いた材料が違っていて初めて分かり、 そこから電話とFAXの記憶を遡ることになります。
移行のコツ:まず「記録が残る片道」にする
いきなり全部を変えなくても、「現場の担当者が自分で、記録の残る形で直接発注する」に変えるだけで 伝言の段数がゼロになります。数量の根拠(面積・仕様)と発注が同じ画面にあれば、 化ける場所がそもそも無くなります。
発注のタイミングと分納
全量を初日に入れるのが正解とは限りません。置き場・保管期限・盗難リスクを考えると、 分けて入れたほうがよい材料があります。
| 材料 | 推奨 | 理由 |
|---|---|---|
| ウレタン・塗料(2液) | 工程に合わせて分納 | 保管期限と高温を嫌う。長期の現場置きで劣化する |
| 調色品 | 同一ロットで一括確保 | 追加はロット違いで色が変わることがある |
| シート・ロール類 | 施工直前 | 屋外保管で汚れ・変形のリスク。置き場も取る |
| 金物・ビス類 | 初回にまとめて | 単価が低く、欠品したときの工程影響が大きい |
よくある失敗
納品希望日を「なるべく早く」で頼む
全部が「至急」になると、問屋側も本当に急ぐものが分かりません。 工程表から逆算した日付で頼むほうが、結果的に欠品は減ります。
購入履歴を原価管理につなげる
発注の記録は、貯まると資産になります。現場別に集計すれば工事ごとの材料原価がそのまま出ますし、 月別に見れば支払いの予定が立ちます。同じ現場の追加発注は履歴から再注文すれば、品番・色の間違いも起きません。
拾い出し(数量計算のやり方)から 発注・履歴までが1つの流れでつながっていれば、「発注業務」は判断だけの仕事になります。
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